
2025.4.1 今月のワン🐶【守屋朋子さん】
今回ご紹介するのは、元富士通関連企業社長、元金沢工業大学大学院客員教授の守屋朋子さん
お茶の水女子大学理学部数学科卒。
(株)富士通ソーシアルサイエンスラボラトリーでシステムアプリケーションから人工知能まで幅広く研究開発に従事。
2007年から 2011年まで㈱FUJITSUユニバーシティのエグゼクティブアドバイザーとして、富士通株式会社のダイバーシティ推進を支援。
2006 年から2014 年まで金沢工業大学大学院工学研究科知的創造システム専攻の客員教授として、「ユビキタスを支える技術」などを担当。
1972年から情報処理学会会員。独立行政法人科学技術振興協会情報通信分野評価委員などを歴任
『女性作曲家のコンサートからみえてきたこと』
コンピュータが生まれたころに生まれ、コンピュータが世に出て使われ始めた頃から技術者としてコンピュータに携わり、
人工知能に関係する仕事を技術者として長く続けましたが、役員として経営にも携わるようになり、
視野が高く広がっていくのがおもしろくなっていきました。
一方、小さいころから学生時代までバイオリンを弾いていて、仕事で中断していましたが、
いつかまたバイオリンを手にすることがもうひとつの夢でもありました。
あるとき、女性作曲家が知られていないことに気が付き、調べ始めました。
女性作曲家は17世紀のころから数多くいたことがわかってきました。それが、なぜ演奏されないのか。
みんなに弾いてもらおう、と考え、所属しているNPO法人アマチュア演奏家協会を中心に演奏者を募り、
年1回のコンサートを開催しています。
今まで5回実施しました。毎回、室内楽、10曲余りを30人ほどの方が弾いてくださいます。
今までのコンサートで感じるのは、女性作曲家の曲をもっと弾いて楽しむべき、
女性作曲家の曲は宝物がいっぱい埋もれているということです。
にもかかわらず演奏されてこなかったのはなぜでしょうか。
女性作曲家のプロフィールをみていくと、作曲当時は、曲が評価され、作曲者本人も評価され有名だったことがみえてきます。
しかし作曲者が亡くなると、その曲も演奏されなくなり、忘却のかなたに追いやられています。
ここで演奏曲を選ぶのはだれか、という視点からみていくと、コンサートの主催者や興行主などが浮かび上がってきます。
この人たちの多くは、男性であったと考えられます。利益にならないことはできないので、
無難な演奏曲の選考になってくることは容易に想定されます。
そうなると、女性名の作曲家より、男性名のほうが無難ということになってくるのではないでしょうか。
1000年も前の時代にヒルデガルトという修道女がいました。彼女の作曲した歌の楽譜が残っているそうです。
彼女は医師でもあり、音楽家、作家、哲学者、でもあったようです。女子修道院という女性ばかりの集団では男性に頼ることなく、
医学、薬学、音楽などなんでも自分たちでこなしていく風土が培われていたと思われます。
17世紀には、イサベラ・レオナルダという修道女が自分たちが演奏するための曲を作り、楽譜を残しています。
彼女の曲は、昨年の私たちのコンサートでも取り上げました。ヒルデガルトと同じく修道女であることが強く印象に残ります.
女性作曲家の曲ばかりをアマチュア演奏家である私たちが演奏することにどれほどの価値があるのでしょうか。
最低限、人前で演奏するレベルではあるにしても技術的にばらつきがあります。
発表会ではなく、コンサートと銘打つことにいささかのためらいもあります。
一方、正規の音楽教育を受け、プロとして活躍する演奏家が、感銘を与えられるレベルで女性作曲家の曲を弾いてくれるような
時代はいつになったらやってくるのでしょうか。
女性が活躍するためには政治の世界でクォーター制を取り入れたり、理工系学部に女子枠を設けたりなど、
アファマティブアクションを行っていく必要があります。
それと同じで、私たちのような個人レベルでなく、公の社会活動の一環として女性作曲家への支援を行っていく必要を感じます。
そうすることで、女性作曲家の曲が演奏されるようになり、音楽愛好家である私たちは、
より幅広く深い音楽を享受することができるようになるのではないでしょうか。