2024.10.1 今月のワン🐶【林陽子さん】
今回ご紹介するのは林陽子さん
弁護士。(公財)市川房枝記念会女性と政治センター理事長。
婚外子に対する差別裁判、有期雇用労働者の育児休業裁判など、女性の権利問題に取り組んできた。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)委員(2008-2018年。2015-2017年まで同委員長)。
G7ジェンダー平等諮問会議委員(2018-2019年)。
趣味はガーデニング。庭には台湾リス、ハクビシン、野生のリス、地域猫が出没する。
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NHKの朝のドラマ「虎に翼」が先月、好評のうちに幕を閉じた。
女性に参政権がなかった時代に、法律を学び、法曹界の扉を開いた女性たちの勇気に光があたったことを、法律家のひとりとして嬉しく思う。
大日本帝国憲法下での司法試験に最初に合格した3人の女性(三淵嘉子、久米愛、中田正子。いずれも婚姻改姓後のお名前)については、
残念ながら私はどなたにも直接お目にかかったことはない。
私が弁護士になったのは1983(昭和58)年。
朝ドラのモデルである三淵嘉子さんは、1914(大正3)年生まれ、1984(昭和59)年に亡くなっている。
久米愛さんは、1911(明治44)年生まれ、私がまだ学生だった1976(昭和51)年に亡くなっている。
久米さんは政府代表として国連の会議に多数回出席された。
最もご長命であったのは、鳥取で弁護士を続けた中田正子さん(1910(明治10)年―2002(平成14)年)である。
中田先生がご健在だった頃、私は仕事で鳥取に出張した際、お会いしたいと思い、訪問のアポイントを取っていた。
しかし現地でお電話を差し上げると、電話に出た方が、「先生はよその人には会いません」と強くおっしゃるので、あきらめて帰京したことがあった。
その後、偶然、ある会合で中田先生の娘さんとお会いする機会があった。
「あなたが林陽子さんですか。家においでになるというので、母は耳が悪いから“玄関にいらした時に聞こえるように”と、
ドアをずっと開けて待っていたのに、いらっしゃらなかったと聞いた」と聞かされ、大変驚いた。
応対したのは来客を全部断ってしまうお手伝いさんだったらしい。
今年、日本弁護士連合会では初の女性会長(渕上玲子さん)が誕生した。
日本の司法がジェンダー平等を自ら実現し、かつ社会全体を公正なものに変えていく力となるよう、
「最初の3人」の先輩方も声援を送って下さっていると思う。